２０１５年のノーベル医学・生理学賞を北里大特別栄誉教授の大村智氏（８０）ら３氏に授与すると発表されました。
大村智氏とアイルランド出身のウィリアム・キャンベル氏、中国のトゥー・ユーユー氏が受賞しました。
大村智氏は、微生物が作り出す有用な化合物を多数発見し、医薬品などの開発につなげた。
医療や科学研究の発展に大きく貢献した功績が評価されました。
大村智氏とは
プロフィール
生年月日：1935年7月12日
出身：山梨県韮崎市
2015年ノーベル生理学・医学賞受賞
エバーメクチンとは
１グラムの土には１億もの微生物がいるそうです。
大村氏は７０年代から各地で土を採取して微生物を分離・培養し、その微生物が出す化学物質に有用なものがないか。中には薬をつくり出す菌もいるだろうと、年間３千もの菌をひたすら調べ続けて、有用な化合物を多数発！！
大村研究室が見つけた化学物質は４８０種類以上。
うち２６種の医薬品や農薬になったそうです。
発見した有望な菌の一種のエバーメクチン。
静岡県伊東市のゴルフ場周辺の土中にいた新種の放線菌が、寄生虫駆除に効果がある成分を出していることを突き止め、「エバーメクチン」と命名したそうです。
菌がつくる物質は、寄生虫を退治する効果が高い。
マウスに飲ませると、感染していた寄生虫が激減する事が分かったそうです。
とくに牛や馬、羊などの腸管に寄生する線虫類に効いたそうです。
そして、７９年に米製薬大手メルクと共同で論文を発表し、分子構造の一部を変えて効果を高めた「イベルメクチン」を開発！！
８１年に家畜用の抗寄生虫薬として発売。
ウシの寄生虫駆除などに使用された。
犬のフィラリアにも劇的に効き、２年後には動物薬の売り上げトップに動物薬になったそうです。
当時は、家畜の栄養を奪う寄生虫を退治する事で、食肉や羊毛の増産につながったとか！！
※牛肉に成分が残留するため、アメリカ合衆国や日本等の輸入国では許容値が設けられているそうです。
そして、エバーメクチンが、アフリカや中南米で広がる人間の熱帯病「オンコセルカ症（河川盲目症）」や「リンパ系フィラリア症（象皮症）」、ダニが原因の皮膚病「疥癬（かいせん）」にも効くことがわかる。
人間用の抗寄生虫薬として「メクチザン」を開発！
８７年に無償提供を開始。
世界保健機関（ＷＨＯ）は９５年、新たな制圧プログラムをアフリカで始め、毎年４万人の失明を防ぐ事に成功。
河川盲目症とは
ブユにかまれ、体内にフィラリア線虫の幼虫が入り込む病気。
激しいかゆみを起こし、失明につながる。
感染者は推定２千万人。
大村氏は会見で、
「私は難しいことをやったわけではない。微生物の力を借りながら、できた仕事。科学者は人のためにやることが大事だ、という思いでやってきた。それが今回の受賞につながった」など
と喜びを語られました。
授賞式は１２月１０日にストックホルムで開かれ、賞金８００万クローナ（約１億２０００万円）が大村氏ら３氏に贈られるそうです。
ノーベル生理学・医学賞（ノーベルせいりがく・いがくしょう）とは
ノーベル賞6部門のうちの1つ。
「（動物）生理学及び医学の分野で最も重要な発見を行なった」人に与えられる。
選考はカロリンスカ研究所のノーベル賞委員会が行う。
ノーベル生理学・医学賞を日本人で受賞するのは3人目です！
87年受賞
利根川 進氏（とねがわ・すすむ）
免疫抗体の多様性を解明
米マサチューセッツ工科大教授
12年受賞
山中 伸弥氏（やまなか・しんや）
ｉＰＳ細胞を開発
京都大教授
15年受賞
大村 智氏（おおむら・さとし）
寄生虫による熱帯感染症への治療法発見
北里大特別栄誉教授。〔共同〕
日本人のノーベル賞受賞者は、計23人になりました。
本当にすごいですよね！！
おめでとうございます！！！
